Float Gallery Antiques(愛知/MAP009)


▼思い入れのある一品とそれにまつわるエピソードを教えてください
Hareペンダントトップ /silver (買い付け地:イギリス)

女性ディーラー「これはラビットではなくって。え〜っと、なんと言ったかしら……そう! これはHare(ヘア)っていう動物なの。」
私「それはウサギの一種なの?」
女性ディーラー「そうよ。でももっと大きいの。耳ももっと大きいわ。」
私「大きいウサギ? ピーターラビットもそれの仲間かい?」
女性ディーラー「あれはラビットって言ってるからラビットでしょう。」
私「うん、確かに。見たことないから後で調べてみるよ。“H,a,r,e.”だね。教えてくれてありがとう。」
その後、調べてみたら、hareは野ウサギでrabbitよりも耳が長く、繁殖期にはちょっと凶暴になるのだそうだ。イギリスではウサギと野ウサギは違う動物だとして認識されているということは私には新しい発見だった。不思議の国のアリスに登場する白ウサギ(rabbit)と三月ウサギ(hare)、そのキャラクターの違いを思い出して、なるほどと感心した。

 

▼Float Gallery Antiquesさんの或る1日のスケジュールを教えてください
とある買い付けの半日
4:15 / 夜明け前のロンドン。バス停ですぐにやってきたナイトバスに乗り込む。2階最前列が空いているのを確認すると外のバス停が見やすいように左側に座る。この席が空いているときはちょっとだけ得した気分になる。バスに乗るや否や降り出した雨。
5:00 / 清掃車や荷降ろしをする商用車の物音にゆり起こされるように今日も街が動き始めるその頃、既に何人かのディーラー達は商いを始めていた。後を追うように大きなカバンを持って、1人、また1人とディーラー達がやってきて、自分の持ち場についてはおもむろに荷物を広げ始める。
6:00 / 犬を散歩しながら品物を見ている女性は近所の人だろうか。あっちの人だかりが出来ているお店の店主は、大きく開いたガマ口のカバンから得意げに今朝初めて見せる古い銀製品を次々と取り出してはテーブルに並べていく。テーブルを取り囲んだ群衆は、まるで手品の種を明かしてやろうとしているかのように、次に何が出て来るのか、食い入るように男の手を見つめている。私はその人混みを横目に歩く。まだ人もまばらなマーケットを縫うように進みながら、めぼしい店、めぼしい品を探し歩く。ほとんどの店が準備を終えたころ既に何周かまわって一通り買い終えたからと時計に目をやるとまだ9時にもなっていなかった。たまたま仕入れで来ていた馴染みのイギリス人ディーラーに出喰わして「今朝は良く買えたかい?」などと挨拶を交わし、それからマーケットを後にした。一時強く降り出した雨も今は霧のように風に舞うだけ。
9:30 / 霧雨のなか帰りのバスもすぐに捕まえた。
10:30 / バスを降りる時に雨はすっかり止んで、気持ちの良い空が広がっていた。何か昼御飯を作って、その後少し昼寝をして……そう考えたらもう十二分に良い一日だと思えた。

 

▼カタログ予習帳

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